2025年8月01日

胃がんの初期症状とは?

胃がんは初期に症状が出にくいことが多く、気づかないうちに進行してしまう場合があります。初期症状としては、胃の違和感、不快感、食欲不振、体重減少などが挙げられます。また、進行すると胃痛、吐き気、胸焼け、黒色便、吐血など、消化器系の症状が現れることもあります。
胃がんは早期発見が重要です。健康診断や胃カメラ検査で早期に発見できることも多く、適切な治療を受けることで予後を改善できます。特に、以下の症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
胃がんの初期症状として現れる主な症状一覧
胃がんの前兆として現れやすい症状は、以下のようなものがあります。初期の段階では軽度なものが多いため、「年齢のせい」「食べすぎかな」などと軽く考えてしまいがちですが、継続する場合は注意が必要です。
- 胃の不快感・もたれ感
食後に胃が重い、スッキリしない感覚がある - 食欲不振
以前より食欲が落ちたと感じる - 体重減少
意図せず体重が減少している - 吐き気・嘔吐
食後に気持ち悪くなることが多くなる - みぞおちの痛み
軽い痛みや違和感が継続している - 腹部膨満感
お腹が張っているように感じる - 貧血
顔色が悪い、立ちくらみがあるなどの貧血症状
これらの症状が単独で現れることもあれば、複数重なる場合もあります。一時的に改善することもありますが、長く続く場合や悪化する場合は、胃がんの前兆として疑い、医療機関への相談をおすすめします。
見逃されやすい初期症状とその特徴
胃がんの初期症状は非常に曖昧で、他の胃腸疾患やストレスなどと間違われやすいのが特徴です。そのため、「大したことない」と自己判断してしまい、受診が遅れるケースも少なくありません。
- 軽度の胃もたれや不快感
食後に少し違和感がある程度で、すぐに治まることが多く放置されがちです - 軽い食欲低下
「最近あまり食べたくないな」と感じる程度で、日常生活に大きな支障がないため気づかれにくいです - 体重の緩やかな減少
ダイエットしていないのに体重が少しずつ減っている場合、注意が必要です - げっぷや胸やけ
胃酸逆流など他の原因と勘違いされやすく、受診が遅れることがあります
こうした症状は一見軽く見えますが、実際には胃がんのサインであることもあります。特に、数週間以上続く場合や、明らかに体調が変わったと感じる場合は、早めの検査が重要です。
胃がんにかかりやすい人の特徴とは

胃がんは日本人に多いがんの1つであり、罹患数(がんと新たに診断される人の数)は大腸がん、肺がんに続く第3位です。女性よりも男性に多く、男性では10人に1人、女性では21人に1人の確率で胃がんにかかると推定されています[※1]。
胃がんの発症は50歳を過ぎると徐々に増加し、80歳代で罹患率が最も高くなります。人口の高齢化の影響で罹患数は年々増えていますが、早期発見・早期治療が可能となってきていることから、胃がんで死亡する人の数は減少傾向にあります[※2]。
胃がんの発症リスクを高める大きな要因の1つが、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染です。ピロリ菌が胃の粘膜に棲みつくと、粘膜に慢性的な炎症が起こります。胃がんが発生するのはピロリ菌感染によって炎症が起こった胃粘膜からがほとんどであり、炎症が長期間続いて粘膜が萎縮した状態(萎縮性胃炎)になると、胃がんの発症リスクはより高くなります[※3]。
そのほかに、喫煙や多量の塩分摂取、多量の飲酒が胃がんの発症リスクを高めると考えられています。
こんな症状があれば病院へ!受診の目安とは
胃がんは早期に発見できれば、内視鏡治療など身体への負担が少ない治療が可能です。しかし発見が遅れると、手術や化学療法が必要になることもあります。そのため、「様子を見る」のではなく、「早めに相談する」ことが重要です。
以下のような症状がある場合は、医療機関の受診をおすすめします。
- 1週間以上続く胃もたれ・違和感
- 食事量が明らかに減ってきた
- 意図しない体重減少が続く
- みぞおちの鈍い痛みが数日以上続く
- 血便や黒色便が出た
- 吐血や強い吐き気
- 顔色が悪く、貧血症状がある
特に40代以上でこうした症状がある場合や、ピロリ菌に感染している、もしくは過去に感染していた方などは胃がんを含む消化器疾患のリスクが高まります。定期的に検診を受けていない方や、生活習慣病がある方は、症状が軽くても一度消化器内科で相談するのが安心です。
検査方法について
胃がんの早期発見には、定期的な検査が欠かせません。特に症状がない段階での検査が、最も効果的な予防手段となります。最も信頼性が高い検査が「胃内視鏡検査(胃カメラ検査)」です。
胃がんの主な検査方法
胃内視鏡検査(胃カメラ検査)
口または鼻から細いカメラを挿入し、胃の粘膜を直接観察します。初期の小さながんでも発見可能で、必要に応じてその場で組織を採取して「病理検査(生検)」を行います。
バリウム検査(胃X線造影)
バリウムを飲み、X線で胃の形状や異常を確認する方法ですが、微細な病変の発見には内視鏡より劣るとされています。進行胃がんの発見率は同等です。
ピロリ菌検査
ピロリ菌検査は胃がんの有無を直接見るものではありませんが、ピロリ菌感染は胃がんの最大のリスク要因とされており、感染の有無を調べ、もしピロリ菌感染が判明した場合は除菌することで将来的な胃がん発生の予防につながります。
症状が出てからではなく、「症状がないとき」にこそ検査を受けることが、胃がんから命を守る最善策です。特に40代以降の方には、定期的な内視鏡検査をおすすめします。
まとめ
胃がんは早期発見が何よりも重要な病気です。しかし、初期段階でははっきりとした症状が出にくく、「なんとなく胃の調子が悪い」といった曖昧なサインから始まることが多いため、気づかずに進行してしまうこともあります。
50歳以上の方は年に1度のペースで、胃カメラ検査を受けたほうが良いでしょう。この年代の方は、胃がんのリスク要因となるピロリ菌に感染していることも多いため、ピロリ菌検査も同時に受けていただくことをオススメします。
以下のような点に心当たりがある方は、早めに医療機関へ相談しましょう。
- 胃の不快感やもたれ感が1週間以上続いている
- 食欲の低下や体重の減少がみられる
- 胃がんの家族歴がある
- 40歳を過ぎて胃の検査を受けたことがない
- ピロリ菌感染の既往がある
特に消化器内科では、胃内視鏡検査などの精密検査を通じて、早期の胃がんを発見することが可能です。「何となくおかしいな」と感じたら、迷わず受診することが、ご自身の健康を守る第一歩になります。
アクセス
「水元地域」「金町・新宿地域」「柴又・高砂地域」「亀有・青戸地域」「綾瀬・お花茶屋・堀切地域」「立石・四つ木地域」「奥戸・新小岩地域」といった葛飾区の全域から非常に多くの方がご来院いただいています。金町駅のすぐお隣が松戸駅であり、常磐線、新京成線からアクセスが良く、非常に多くの方にご来院いただいています。また京成金町駅も最寄りのため、北総線からのアクセスも良いです。
記事監修

保有資格
医学博士
日本内科学会 内科認定医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器内視鏡学会 関東支部評議員
院長:三井 智広
